誰もが聞いたことのある「日本の滝百選」。全国を代表する名瀑と言われる滝を100か所を選んだもの。
では、そんな100滝を都道府県別に数えてみたら、いったいどこが一番多いのか?気になりますよね?
さらには…
地方別ではどこが多い?
1つも選ばれていない県は?
一番高い滝と、一番低い滝は?
滝幅で見てみると?
日本を代表する100滝を、いろいろな角度からランキングに!
「滝のスゴさ=落差」だけじゃない!滝百選の見方が変わるかも?!
「日本の滝百選」とは?
「日本の滝百選」は1990年(平成2年)、環境庁(現在の環境省)と林野庁の後援のもと、日本の滝選考会によって選ばれた100の滝。
選定対象となったのは、全国から応募された517滝。その中の100滝が選ばれました。(当選率19.3%)
わざわざ応募するんだからそれなりのレベルの滝のはず。100選から漏れた滝も気になります。
※「日本の滝百選」の選定経緯については、国土交通省資料および百選一覧資料を参照
日本の滝百選が多い都道府県ランキング
100滝を都道府県別に集計した結果がこちら!
| 順位 | 都道府県 | 選出数 |
|---|---|---|
| 1位 | 北海道 | 6 |
| 2位 | 秋田県 | 4 |
| 2位 | 岐阜県 | 4 |
| 2位 | 兵庫県 | 4 |
| 2位 | 奈良県 | 4 |
| 2位 | 熊本県 | 4 |
| 2位 | 大分県 | 4 |
| 2位 | 宮崎県 | 4 |
| 9位 | 山形県 | 3 |
| 9位 | 福島県 | 3 |
| 9位 | 群馬県 | 3 |
| 9位 | 山梨県 | 3 |
| 9位 | 新潟県 | 3 |
| 9位 | 長野県 | 3 |
| 9位 | 静岡県 | 3 |
| 9位 | 三重県 | 3 |
| 9位 | 和歌山県 | 3 |
| 9位 | 徳島県 | 3 |
| 9位 | 高知県 | 3 |
第1位は北海道の6滝!
日本で最大面積を誇る北海道がさすがの1位を獲得!なんと6つの滝が選ばれています。
- 羽衣の滝
- インクラの滝
- 賀老の滝
- 流星・銀河の滝
- アシリベツの滝
- オシンコシンの滝
北海道は面積が広いだけでなく大きな山も多いことから1位を予想した人も多いでしょう。
面白いのは、その次。
2位はなんと7県が4滝で横並び!
秋田、岐阜、兵庫、奈良、熊本、大分、宮崎。
北から南、九州に至っては3県も選ばれました。
逆に、日本の三大アルプス全てに絡む長野県が2位に入らなかったのは正直意外でした。
兵庫県が全国2位タイ!
ちょっと意外なのが兵庫県。
兵庫県からは、
- 原不動滝
- 猿尾滝
- 天滝
- 布引の滝
の4滝が選ばれ、全国2位タイとなりました。
布引の滝は新神戸駅から徒歩圏にある滝で、「雄滝」「雌滝」「夫婦滝」「鼓ヶ滝」の4つの滝の総称。
「名瀑=人里離れた山奥」と思いがちですが、新幹線の駅から歩いて行ける滝百選もあるんです。
47都道府県すべてにあるわけではない!選ばれなかった4県とは?
複数の滝が選ばれる県もあれば、逆に、日本の滝百選に1つの滝も選ばれなかった県も。
それが…
千葉県・香川県・福岡県・長崎県
の4県。
ということは…
43の都道府県(約91.5%)には少なくとも1つの「日本の滝百選」があるということ。
注意したいのが「滝百選が0件=素晴らしい滝がない」訳ではないということ。
1990年に選定された「日本の滝百選」に入っていないというだけで、百選以外にも日本には素晴らしい滝はたくさんあります!
「日本の滝百選」がいかに狭き門なのかが分かります。当選率19.3%は伊達じゃない!
ちなみに、4県を代表する名瀑がこちら!
「日本の滝百選」に選ばれていない4県にも、もちろん魅力的な滝があります。各県を代表する名瀑をピックアップしてみました!
| 都道府県 | 滝名 | 所在地 | 落差 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 千葉県 | 粟又の滝(養老の滝) | 夷隅郡大多喜町粟又 | 30m | 養老渓谷を代表する名瀑。約100mにわたって緩やかな岩肌を流れ落ちる |
| 香川県 | 不動の滝 | 三豊市豊中町岡本 | 50m | 七宝山の水を集め、高さ50mの絶壁から流れ落ちる |
| 福岡県 | 白糸の滝 | 糸島市白糸 | 約24m | 羽金山中腹にある福岡県指定名勝。最大幅は約14m |
| 長崎県 | 轟の滝 | 諫早市高来町 | ― | 多良岳を水源とする轟渓流を代表する滝。周辺には大小30余りの滝が連なる。轟渓流は環境省「名水百選」に選定 |
百選には選ばれていなくても、落差50mの滝や県指定名勝、「名水百選」に選ばれた渓流など、4県にも見応えのある名瀑があります。
千葉県:粟又の滝(あわまたのたき)

香川県:不動の滝

福岡県:白糸の滝

長崎県:轟の滝

地方別では、どこが強い?
次は「都道府県」の枠から「地方別」に広げて集計してみました。(三重県を中部地方に含めた8地方区分で集計)
| 順位 | 地方 | 選出数 |
|---|---|---|
| 1位 | 中部 | 23 |
| 2位 | 九州・沖縄 | 17 |
| 3位 | 東北 | 15 |
| 4位 | 近畿 | 14 |
| 5位 | 関東 | 10 |
| 6位 | 四国 | 8 |
| 7位 | 中国 | 7 |
| 8位 | 北海道 | 6 |
都道府県では北海道が1位でしたが、地方別にすると中部地方が23滝でトップ。さすがに寄って集かられると負けちゃいますよね。
続いて九州・沖縄が17滝、東北が15滝。近畿はトップ3入りを逃し、14滝で4位に。
見方を変えるだけで順位がガラッと変わるのが面白い。
そして、やっぱり日本アルプス(北アルプス、中央アルプス、南アルプス)を有する中部地方は強い!山があるから滝がある、ってことですね。
※地方区分には複数の考え方があります。三重県を近畿地方として集計した場合は数字が変わるため、本記事では集計条件を明示しています。
今度は高さ!落差が大きい滝ランキング
数の次は「高さ」。
日本の滝百選の落差データを比較。
しかし調べてみると、
滝の落差は資料によって数字が異なる場合あり!
どこからどこまでを滝として測るのか、複数段ある滝をどう扱うのかなどによって数値が変わるケースがあるため絶対コレだ!と決めるのは非常に困難。
そこで、本記事では「滝の引力」の日本の滝百選データを基準に順位を集計し、国や自治体などの公的資料で確認できるものについては個別に数値を照合。
そこから導き出されたランキングですので、参考記事としてお楽しみください。
| 順位 | 滝名 | 都道府県 | 落差 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 称名滝 | 富山県 | 350m |
| 2位 | 雪輪の滝 | 愛媛県 | 300m |
| 3位 | 羽衣の滝 | 北海道 | 270m |
| 4位 | 中の滝 | 奈良県 | 約250m |
| 5位 | 寂地峡五竜の滝 | 山口県 | 約200m |
| 6位 | 三階の滝 | 宮城県 | 181m |
| 7位 | 那智の滝 | 和歌山県 | 133m |
| 8位 | 常清滝 | 広島県 | 126m |
| 9位 | 白糸の滝 | 山形県 | 約123m |
| 10位 | 北精進ヶ滝 | 山梨県 | 121m |
1位・称名滝は350m!
富山県立山町にある「称名滝」は落差350m。
4段に折れながら350mを流れ落ちる複数段の滝で、国土交通省も「落差日本一」と紹介しています。
面白いのが、雪解けなどで水量が増えた時期。
「称名滝」の隣に、落差約500mとされる「ハンノキ滝」が現れることがあるとのこと。
「じゃあ500mのハンノキ滝が日本一じゃないの?」
と思っちゃいますが、ハンノキ滝は一年中流れている「常設の滝」ではないため、ランキングでは対象外。
一般的な落差ランキングでは称名滝が「日本一の落差を持つ滝」とされています。
一段の滝なら「那智の滝」が2位!1位は?
複数段ある滝が上位に顔を出しがちな落差ランキング。
一段の滝としての落差となるとまた別の順位が見えてきます。
日本三名瀑の一つ「那智の滝」は、133mを一気に流れ落ちる一段の滝。和歌山県などでは「落差日本一」と紹介されています。
ところが、さらに高い一段の滝があります。
| 順位 | 滝名 | 所在地 | 落差 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ラッキベツの滝 | 北海道・択捉島 | 140m以上 |
| 2位 | 那智の滝 | 和歌山県 | 133m |
「ラッキベツの滝」は択捉島にあり、北海道は「落差140m以上ある直瀑で、一段の滝としては日本一」としています。
一方、那智の滝については国土交通省が「一段の滝として落差133mで日本最長」と紹介。
この違いには、現在日本の施政権が及んでいない北方領土・択捉島をランキング上どう扱うかという事情があります。内閣府の北方領土資料では「ラッキベツの滝」を「那智の滝」より落差の大きい「日本一」の直瀑としています。
逆に低い!落差が小さい滝ランキング
高い方を見たら、当然こっちも気になります。
日本の滝百選で落差が小さい滝は?
| 順位 | 滝名 | 都道府県 | 落差 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 乙字ヶ滝 | 福島県 | 6m |
| 2位 | 吹割の滝 | 群馬県 | 7m |
| 3位 | 不動の滝 | 岩手県 | 15m |
| 4位 | マリユドゥの滝 | 沖縄県 | 16m |
| 5位 | 真名井の滝 | 宮崎県 | 17m |
| 6位 | 関之尾滝 | 宮崎県 | 18m |
| 7位 | 白糸の滝 | 静岡県 | 20m |
| 7位 | 大釜の滝 | 徳島県 | 20m |
| 7位 | 龍王の滝 | 高知県 | 20m |
| 7位 | 原尻の滝 | 大分県 | 20m |
※落差の数値は資料によって異なる場合があります。
百選なのに落差6m!乙字ヶ滝
最も低かったのは福島県の「乙字ヶ滝」で、落差はたったの6m。
1位の「称名滝」が350mなので、約1/60倍ほどしかありません。
それでも両方とも同じ「日本の滝百選」。
これだけでも、百選が単純に「高い滝ベスト100」ではないことがよく分かります。
そして「乙字ヶ滝」には、もう一つ面白い数字があります。
滝の幅はなんと約100m!
低いけど、横にデカい。
高さだけではわからない滝の魅力。百選に選ばれるのにはちゃんと理由があるんですね!
滝は高さだけじゃない!今度は「幅」で見てみよう
ということで、今度は滝の横幅を調査。
こちらも調べてわかったことですが、幅について100滝すべてを同じ基準で測定した信頼できる統一データは確認できませんでした。
そこで「日本の滝百選・幅ランキングTOP100」は諦め、国・自治体・公式観光団体など、信頼できる情報源で滝幅を確認できた滝の中から、代表的な滝を比べてみました。
| 滝名 | 都道府県 | 高さ | 幅 |
|---|---|---|---|
| 白糸の滝 | 静岡県 | 約20m | 約150m |
| 原尻の滝 | 大分県 | 約20m | 約120m |
| 乙字ヶ滝 | 福島県 | 約6m | 約100m |
| 白糸の滝 | 長野県 | 約3m | 約70m |
| 吹割の滝 | 群馬県 | 約7m | 約30m |
静岡県富士宮市の白糸の滝は、高さ約20mに対して幅約150m。
富士山の雪解け水が湾曲した絶壁から幾筋にもなって流れ落ちる姿は圧巻です。
大分県の原尻の滝も高さ約20mですが、幅は約120m。
そして乙字ヶ滝は高さわずか6mなのに幅約100m。
こうして並べると、
「高い=大きい」「低い=小さい」とは限らない。
滝の見え方が変わってきませんか?
「東洋のナイアガラ」って何個もある!?
幅の広い滝を調べていると、もう一つ面白いことが分かります。
群馬県の「吹割の滝」は高さ約7m・幅約30mで「東洋のナイアガラ」と呼ばれています。
そして大分県の「原尻の滝」も、幅120mの姿からこちらも「東洋のナイアガラ」と呼ばれています。
……東洋のナイアガラ、1か所じゃないんですね。
こういう愛称は公式な順位や称号ではなく、各地域でその迫力を表現するために使われているもの。
探してみると、ほかにも「○○のナイアガラ」と呼ばれる滝があります。
これはこれで、別のランキングが作れそうです。
「日本三名瀑」はどこ?実は諸説あり
滝の話になるとよく登場するのが「日本三名瀑」または「日本三大瀑布」。
一般的には、
- 華厳の滝(栃木県)
- 那智の滝(和歌山県)
- 袋田の滝(茨城県)
の3滝が挙げられることが多く、3つとも日本の滝百選に入っています。
ただし、「日本三名瀑」には百選のような明確な公式選定基準があるわけではありません。
特に3つ目については、「秋保大滝」や「称名滝」などを挙げる説もあります。
こういうものは「どれが正解か」を無理に1つに決めるより、
「一般的にはこの3つ。ただし、こんな説もある」
と知っておく方が面白いですよね。
「日本の滝百選」の見え方が変わった
今回、日本の滝百選をいろいろな角度から集計してみると、
- 都道府県別1位は北海道の6滝
- 2位は7道県が4滝で並ぶ
- 0件は千葉・香川・福岡・長崎の4県
- 地方別では中部が23滝で最多
- 落差最大は称名滝の350m
- 落差最小クラスは乙字ヶ滝の6m、でも滝幅は約100m
- 高さだけでは滝のスケールは分からない
- 「日本三名瀑」にも諸説がある
などなど。
100滝を例にザッと調べてみるだけで今まで気づかなかったことや知らなかったこと、新たな発見が見えてきました。
同じ100個のデータでも、見方や物差しを変えると、全く違うランキンに。
これからも、他の「○○百選」や世の中で知られているランキングなどを基に新しい発見を楽しみたい!
次は何を知らべてみようかな?
主な参考資料
本記事では、日本の滝百選の一覧・所在地・落差について複数資料を照合し、数値に差がある場合は自治体・国などの公的情報を優先して確認しています。
- 国土交通省関連資料
- 林野庁・森林管理局資料
- 各都道府県・市町村公式サイト
- 日本の滝百選一覧資料
- 各地域の公式観光協会・観光団体
※滝の落差・幅については、測定方法や滝の範囲の捉え方などによって資料間で数値が異なる場合があります。本記事ではその違いを無理に統一せず、必要に応じて概数・注記を付けています。

